~死ね~を全力で叫ぶことができなくなったあいみょんを憂うべきである
あいみょんを初めて見たのは、丁度2年前くらいに札幌のローカル音楽番組でピックアップされていた時だった。
その時はまだ契約したての頃で、「あ、媚びない女だ、好き。」と思った。
出ましたね、新曲。
もろっもろに媚びとるやんけ。
ほらもう君に会いたくて
恋しくてこのまま
あれ?あいみょん?
これは、西野カナの歌詞でも到底おかしくないぞ…
いつもの言葉のトゲの感じが減って、なんかちょっとあざといしノーマル。
他愛もない歌詞、誰も敵に回さないような歌詞。まぁマリーゴールドあたりからその気はあったんだけど。
あいみょんって、ちょっと前までは、あざとくしたくてもできない、賢くてプライドの高い女の子っていう感じだった。
本当は会いたいのに、重い女だと思われたくないし、相手に依存したくないからラインしないような、そういう不器用な女の子。
だから、あざとくて甘え上手で、なのに男に気に入られている、そういう女に対するヘイトが内包されていて、それがまた素敵で美しかった。
最近あいみょんが変化の一途を辿っているのは、音楽の売り方としては正しい。というか、そうならざるを得なかったんだろうな、という感じ。関わる人が多くなればなるだけ、リスクをとることができない。
死ねええええええええええええええ
とか全力で叫ぶなんて、もってのほか。はい。
少数の人の「心の底に響かせる」曲を作るやり方から、多くの人が「まあいい曲だね」と思う様な曲を作るやり方へのシフトチェンジ。そういう意味では非常に賢いんだけど、今までの美しい賢さとはちょっと違う。
そんな変化の中でも変わっていないのが、唯一無二の声と、メロディセンスの良さ。この声は本当に貴重。
個人的には女性ボーカルってあんまり好きではないんだけど、これは素直にあいみょんが一番いいと思った。深くて響く、中性的な声。
あと歌ってる顔がセクシーすぎる。気持ち悪いかもしれないけど、マジでセクシー(2回目)。
でもこの声媚びない方がいいのになぁ、本当に。
ちょっと前から知ってるからって古株面するつもりはないし、良い音楽がその通り良いと評価されることは、今の音楽シーンでは珍しいから素直に喜ぶべきなんだと思う。
ただ、多分あいみょんはこれからファン層がどんどん変わっていくと思うし、メジャーになるにつれて、元のファンにとっては「聴く必要のない曲」になっていくんだと思う。ファンだったら売れたのは祝福すべきで、長い目で応援しようとか言う人もいるけど、あまっちょろい。
そう考えると、"反抗期が終わり成長して、全く手がかからなくなり自立していった息子"を思う、母親の様な複雑な心境ではあります。